西山 公人の「繁盛店レポート」

多店舗化の壁を打ち破る

創業から順調に業績をあげてきて、4・5店舗まで拡大をした辺りで、一つ目の壁にぶつかる企業がとても多く見受けられる。
これまでは、社長自身の思いと行動力でここまで会社を引っ張ってきたものの、この先は少し合理的・計画的に会社の成長の絵を描いていく必要がある。

そもそも飲食店の成功要因は、「業態」・「立地」・「人材」の三つである。4・5店舗まで拡大をしてきたということは、「業態」はまずまず良いはずである。また「立地」についても判断を間違ってこなかったようだ。「人材」についても今のメンバーは十分に頑張ってくれている。
では、なぜここで壁にぶつかってしまうのか?それはズバリ、お金と人材の壁にぶつかるからである。
人材については別の機会にお話するとして、今回はお金の壁についてお話しよう。

ソーシャルレンディング

4・5店舗くらい出店をして来ているということは、銀行からの借入れもそろそろ枠が一杯になり、またリースの与信枠も一杯に近い状況になる頃である。
融資がおりない、リースも使えない、となると後は「まるごとリース」のような仕組みでの出店をしようと検討をするものの、自店舗の営業利益率と照らし合わせて見るとちょっとしり込みをしてしまうのが実際である。
結果、店舗の利益から自己資金が貯まるのを待って出店しようとするが、その頃には残念ながら、1・2店舗が赤字になってしまい、立直しと撤退で新規出店どころではなくなってしまう。これが4・5店舗の壁である。

「借りれない」という状況を打破できる可能性があるのが、最近話題になってきている「ソーシャルレンディング」という「たくさんの個人から少しずつお金を集める」という金融サービスである。
この「ソーシャルレンディング」は、日本では未だ認知度の低いサービスであるが、海外では既に十分に知られているサービスである。
個人の引越し費用や車の修理費用など数十万円から数百万円までをこのサービスを使って調達するのである。

このサービスをいち早く日本に取り入れたmaneo株式会社(https://www.maneo.jp/)では、海外のように個人の資金調達の支援もしているが、飲食店の開業資金の調達の支援もしているのが大きな特徴である。今までの実績としては、独立開業資金として約1,000万円を調達した例や、フランチャイズに加盟をした飲食店経営者が開業運転資金として数百万円を調達した例もある。

返済期間や金利などは借り手の方で決めることができるが、貸し手にとって魅力が無い条件だとお金が集まらないこともある。これまでの実績からすると返済期間は24ヶ月~36ヶ月程度、金利は6%~15%の間くらいのようだ。

またこのサービスにおいて融資が実行されるかどうかは、何よりも貸し手が納得するような事業計画と、貸し手の心を動かすような店舗にかける思いを熱く語れるかどうかが大事である。

更に、貸し手に対して「VIPカード」のような数%割引チケット(株主優待券のようなもの)を発行すると、貸し手の方も頻繁に来店するようになり、販売促進効果も望める。まさに貸し手がみなさんの応援団になるということである。経営者として、多店舗化の壁を打ち破る新しい資金調達の方法として「ソーシャルレンディング」を検討してみるのも良いのではないかと思う。

次回は、フランチャイズ展開についてお話しをしていく。

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